こんにちは。ありしろ道具店の有城です。
今週は、来年春に静岡県三島市で開催される記念行事で使用する「盃」のウレタン塗装をしています。材は前回のブログで紹介した器と同じく御殿場のカエデです。この仕事のために伊豆周辺のカエデを探していたのですが、お世話になっている工務店や製材所の方々のご理解をいただき使わせていただくことができました。本当にありがたいことです
前回のブログでは使用している塗料について書きましたが、今回はウレタン塗装に必要な道具類について解説をします。
私はウレタン塗装を行うとき、スプレーガンを使うようにしています。もちろん刷毛塗りも選択肢としてはあるのですが、均一で薄い塗膜を刷毛でムラなく塗り重ねていくということは、ものすごく難易度の高い作業です。そして刷毛の選択と管理も、手軽そうでいて意外と大変です。
吹付塗装の場合、塗装不良は高湿度などの気候面や塗料の粘度の調整ミスなどによって生じることが多いです。エアサンダーや掃除のためのコンプレッサーをお持ちの方は、基本的にはスプレーガンがあればエアスプレー塗装ができますが、私はより確実な塗装をするために、コンプレッサーからの圧縮エアーの減圧と清浄のためのエアートランスホーマーを設置しています。
また、ウレタン塗装で使用する消耗品は「木固めエース普及会オンラインショップ」で塗料と一緒に購入しています。
(1)美吉野紙
ウレタン塗料をスプレーガンのカップに移す時に細かなホコリを取り除きます。スプレーガンのつまりや塗膜面のホコリ対策になります。
(2)タフグローブ
木固めエースやプレポリマーを浸透させる作業時に着用します。ソフトな感触なので細かな作業にも適しています。写真は木固めエース普及会事務局からお借りしました。師匠の時松辰夫先生が実際に作業されています。塗装室や道具の綺麗さなど写真を見るだけでも時松先生のものづくりや人に対する心遣いが感じられます。
(3)有機ガス用吸収缶
木固めエース浸透作業やスプレーガンでの塗装作業中は防毒マスクを着用します。ウレタン塗料の有機溶剤がフィルターに付着すると、次第に息苦しくなってくるので、吸収缶の交換をおすすめします。
その他、塗装で使用するウエスは、近くのクリーニング会社から旅館で使用済みとなった布団のシーツを分けていただいております。観光地ならではですね。小さなことではありますが、地域のものを活用できるということはうれしいことです。
肝心の木の器づくり工程がなかなか進まず、申し訳ありません。「半割工法」についても近日中に紹介しますので、どうぞ気長にお付き合いください。引き続きよろしくお願いします。
著者の紹介
有城利博(ありしろ・としひろ)
木工家 ありしろ道具店代表
1974年福井県生まれ。東北大学文学部卒業後、新潟県で家具製作に従事。2005年に伊豆へ移住。NPO法人伊豆森林夢巧房研究所で、木工デザイナー・時松辰夫氏に木の器作りの手ほどきを受ける。2011年にありしろ道具店を設立。地元の旅館や飲食店向けに業務用の食器やテーブルウェアの製作を行う。
ブログ:ありしろ道具店
※有城さんが白木の器に使用している木工塗料は、「木固めエース普及会オンラインショップ」で購入できます。