白木の器作り・その2「材料の木取り方法」

秋岡芳夫の盟友、時松辰夫(アトリエときデザイン研究所代表)に師事した木工家・有城利博さんが、木の器の作り方をレクチャーする連載企画。今回は木の器の「木取り方法」について、メリットやデメリットを解説いただいています。

文: 有城利博(木工家・ありしろ道具店代表)

こんにちは。ありしろ道具店の有城です。

木工ロクロの仕事を始めてから、「器を作るのに適した木は何ですか」とよく聞かれます。

前回の記事で書いたように私の好みもありますし、加工が大変で苦手な木もあります。私がロクロ仕事を学び始めて最初に削った木がクヌギでした。堅くて削れない、材料がロクロから外れて吹き飛ぶ、鉋の刃が折れるなど泣きそうになった記憶があり今でも苦手意識があります。しかしながら、師匠である時松辰夫先生の「木は平等」という言葉を胸に、器づくりを通してそれぞれの木の面白さを探求していきたいという思いで、「どんな木でも作れます」と答えるようにしています。

先日も木の器を作る友人の作品展を観て来たのですが、クヌギの器もありました。クヌギの、歪みやすかったり、菌が入りやすかったりするその特徴がそのまま器の魅力として表現されていました。自分に無い技術や感性に触れることはとても刺激になります。写真はその時に購入したミカンの木の花器です。ミカンの木も堅くて削るのが大変なのです。

ミカンの木の花器

丸太や材木から製作するものの原型を取る事を「木取り」と言います。 器を手に取り縦にしたり横にしたり、時には工場に横たわっている丸太に器を当てながら、「器を作る時、どのような向きで木取りをしているのですか」 という質問もよく聞かれます。

器づくりの木取りの方法には大きく分けて2種類あります。 「横木取り」と「縦木取り」です。 「横木取り」は丸太が横になった状態で器が横に並ぶように取る方法です。 「縦木取り」は丸太を立てた状態の時、輪切り面に器が並ぶように取る方法です。

「横木取り」と「縦木取り」

「横木取り」は美しくておもしろい木目が出る、「縦木取り」は歪みが少ない、などそれぞれの特徴がありますが、私は作る器のほとんどを横木取りしています。 白木の器でひとつひとつの木目を楽しんでもらえるということが理由のひとつです。また、直径15㎝の丸太があれば、横木取りだと直径12㎝・高さ6㎝の標準的な大きさのお椀を取ることが出来ます。私が器づくりで使う木は間伐材など比較的小さな材です。同じ大きさの器を作るのに横木取りの方が縦木取りよりも径が小さくて済むというのが大きな理由です。

横木取り

そして、実際に横木取りで器の原型を取る方法は時松先生から教わった「半割工法」です。丸太を製材する時にまず中心で半分に割り、ヒビの入りやすい芯の部分を外して板にする方法です。

半割工法

帯鋸(オビノコ)を使った「半割工法」については、今後のブログで取り上げる予定です。

余談ですが、民族文化映像研究所制作の「奥会津の木地師」という映像作品がありまして、その中で木地師がヨキ(斧)で丸太からお椀の原型を横木取りするのですが、そのヨキさばきは一見の価値があります。その方法が行われていたのがそう遠い昔の話のことではないことも驚きです。この作品は各地で上映会が開催されています。木固めエース普及会事務局のあるモノ・モノでも上映会の企画が進みそうですので、開催される際にはぜひご覧になってください。

著者の紹介

有城さん

有城利博(ありしろ・としひろ)

木工家 ありしろ道具店代表

1974年福井県生まれ。東北大学文学部卒業後、新潟県で家具製作に従事。2005年に伊豆へ移住。NPO法人伊豆森林夢巧房研究所で、木工デザイナー・時松辰夫氏に木の器作りの手ほどきを受ける。2011年にありしろ道具店を設立。地元の旅館や飲食店向けに業務用の食器やテーブルウェアの製作を行う。
ブログ:ありしろ道具店

※有城さんが白木の器に使用している木工塗料は、「木固めエース普及会オンラインショップ」で購入できます。

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