秋岡芳夫(1920-1997)は、目黒区ゆかりの工業デザイナーです。1950年代、戦後日本における工業デザインの黎明期に、河潤之介、金子至とともに、目黒区中町の自宅にKAK(カック)という名称のデザイン事務所を開設(1953年)、ラジオキャビネット、カメラ、照度計など、光学機器のデザインを得意とし、数々の名品を世に送り出しました。この活気あふれる工業デザイナーグループは、急成長を遂げた日本の工業デザインの発展に大きく寄与していきます。
2011年に開催した「DOMA秋岡芳夫展」以降、年度末に開催している特集展示「秋岡芳夫全集」の第5回目となる今回のテーマは、このKAKの仕事を取り上げます。3人すべてが代表取締役であるとし、それぞれの持ち味を活かして多くのすぐれた工業製品を作り出していきました。 3人は生活と工業デザインのあるべき姿を常に考え、よく遊び、よく仕事をしながら、デザインに携わっていましたが、沢山のアルバムに残っているその様子は、今見ても新鮮です。本展では、秋岡・河・金子によるKAKの仕事をフォーカスし、カメラ、露出計などの光学機器から学研科学の付録に至る仕事を展示します。さらに、三人三様のキャラクターにも光をあて、河潤之介、金子至のユニークな人となりも、KAK以外のプライベートな仕事を通して紹介していきます。