お知らせ

2017.05

6月23日(金)|回顧展「木考会に集って40年」開催のお知らせ

日本の工房家具の創生期に重要な役割を果たした「木考会」。その歩みをふり返る回顧展を6月23日(金)から6月25日(日)までの3日間、モノ・モノで開催します。

1970年代、手作業を主とした木工家具作りを志向する若者たちが日本各地で現れました。従来の枠組みにとらわれず、個々に活動している作り手が中心でしたが、「前近代的とされた木工という仕事に、人間らしい生き方、働き方の可能性を感じる」という点でひとつにつながっていました。

1980年代に入ると、そんな若者たちが月に一度、モノ・モノを会場として集っては語り合い、情報交換し、ときにはグループ展を開催するようになりました。幹事役は「でく工房」の故・竹野広行さん。木考会という名称は同じ工房の光野有次さんが命名しました。メンバーには木工藝の須田賢司さん(現・人間国宝)、渡辺晃男さん、甘糟憲正さん。木工家具の稲本正さん(現・オークヴィレッジ会長)、井崎正治さん、谷進一郎さん、村上富朗さん、吉野崇裕さん。美術系の大学で木工やデザインを指導する立場になった荒井利春さんや丸谷芳正さんなど、のちに木工界をリードする立場になった人も少なくありません。木考会が活発に活動していたのはわずか6年間ほどですが、その間にのべ100人以上の木工関係者が何らかの形で関わっていました。

“木工家第一世代”といわれる工房家具創生期の作り手にとって、木考会は同じ志を持つもの同士の出会いの場であり、互いの仕事のやり方を学べる貴重な場でもありました。その歩みをふりかえり、再評価を促すのが本イベントの目的です。会期中は木考会の中心メンバーが40年ぶりに集結。思い出の道具や書籍、作品の展示を行うほか、人間国宝の須田賢司さんも参加するトークイベントも行います。

木考会の打ち上げの様子

木考会とは… 

正式名称は「木工を考える会」。展覧会などを通じて木工を仕事にしている若者が出会い、12名が最初に集まったのが1977年5月のこと。会長も会則もない自由な集いの場が毎月開催された。会では互いの作品や写真を持ち寄り、木工談義で盛り上がった。また、会報『黙木(モクモク)』も毎月発行された。木考会の特徴は、この指止まれの自由参加方式で、材料や道具の共同購入、お互いの工房見学、李朝木工研究会、展示会(木の仕事展)など、さまざまな活動を行った。本格的なデビューとなったのは1978年8月、モノ・モノが伊勢丹新宿店で企画した「暮らしの中の自然展」だった。その打ち上げ会は木考会のメンバーがモノ・モノを占拠した格好になり、外まで熱気があふれた伝説的な集いとなった(上写真)。

参考文献:木工家ウィーク開催に至るまで(文:谷進一郎)

開催日時 

6月23日(金)14:00~18:00 作品・記念品展示(一部販売)
6月24日(土)11:00~14:00 同上
6月25日(日)11:00~14:00 14:00からトークイベント「木考会とは何か」を開催。(詳細は下記)

出展者紹介(五十音順) 

芦澤利男(あしざわ・としお)
1955年埼玉県生まれ。東京都職業訓練校、木工指導員。職業訓練校を卒業後、住込みで戸山家具に入社。下請けとして独立。その後家具会社に入社し、各種資格取得。

荒井利春(あらい・としはる)
1948年東京都生まれ。荒井利春実験工房代表、一般社団法人ユニバーサルデザインいしかわ理事長。1972年~78年日立製作所デザイン研究所、78年~85年でく工房、85年~2013年金沢美術工芸大学デザイン科でユーザー参加型ユニバーサルデザイン教育と研究を実践。

古松弘喜(こまつ・ひろき)
1954年長野県生まれ。こまつ家具工房代表。1954年長野県生まれ。79年品川職業訓練校木工課入学。80年「ちわき家具工房」にて家具製作見習い、81年「でく工房」にて障害者用道具つくりの見習いを経て、83年「こまつ家具工房」を開業。

須田賢司(すだ・けんじ)
1954年東京都生まれ。木工藝家。公益社団法人日本工芸会木竹工部会長。1954年東京都生まれ。92年群馬県甘楽町に移転。2014年重要無形文化財「木工芸」保持者に認定。2015年『木工藝―清雅を標に―』を上梓。2016年竹中大工道具館「人間国宝須田賢司の木工藝」展開催。

高橋俊和(たかはし・とかしず)
1954年大阪府生まれ。都幾川木建代表。1954年大阪府生まれ。都立品川職業訓練校木工技術科修了後、林二郎(木工芸)、「でく工房」に学んで83年独立。84年から「棟梁に学ぶ家」グループで伝統工法を学び、以後木造建築の設計施工を行う。

竹野節子(たけの・せつこ)
1957年東京都生まれ。有限会社でく工房代表取締役。78年に木工芸を習い始めて須田賢司さんと知り合い、木考会に参加。そこで竹野広行と知り合い、1992年に結婚。2003年に竹野が急死。でく工房を引き継ぎ、現在にいたる。

谷恭子(たに・きょうこ)
1954年東京都生まれ。木工小物ブランドスタジオKUKU・木のジュエリーブランドKUKU+主宰。ヒコみづのジュエリーカレッジで学んだのち、ジュエリーデザイナーとして宝飾メーカーに勤務。彫金作家桂盛行氏・盛仁氏に師事。

谷進一郎(たに・しんいちろう)
1947年東京都生まれ。木工家。国画会工芸部会員、信州木工会会長、木工家ネット代表。武蔵野美術大学で家具デザインを学んだ後、松本で木工修業。73年工房開設、創作と注文による家具木工品を制作。

血脇正裕(ちわき・まさひろ)
1949年神奈川県生まれ。新聞社の印刷局勤務をへたのち、職業訓練所の家具工芸科を卒業。洋家具、和家具の修業後に独立し、注文家具製造を14年間勤める。

橋本和雄(はしもと・かずお)
1953年群馬県生まれ。こっぱ舎代表。都立品川高等職業訓練校木工技術科修了後、でく工房実習生を経て84年大宮市(現さいたま市)でこっぱ舎創業、現在に至る。妻は『街の小さな木工所から』の企画・編集をした宮川典子。

丸谷芳正(まるや・よしまさ)
1950年東京都生まれ。設計工房MandM代表。76年木曽御岳奥村設計所入社。80年設計工房MandMを設立。99年-2016年高岡短期大学及び富山大学教授。現在は家具からまちづくりまで行う工房を再開。

光野有次(みつの・ゆうじ)
1949年長崎県生まれ。有限会社でく工房取締役会長。日立製作所デザイン研究所勤務後、74年でく工房(練馬)設立。88年無限工房(長崎県諫早市)設立。2003年スウェーデンの車椅子輸入会社設立。2011年でく工房取締役会長に就任。

山本辰治(やまもと・たつじ)
1952年広島県生まれ。工房やまも代表。金沢美術工芸大学工業意匠専攻卒業後、日立デザイン研究所勤務。定年退職後、木工旋盤を基本に気ままな趣味木工を継続。現在は、自称「ヘラ職人」として木と向き合う。

吉野崇裕(よしの・たかひろ)
1958年東京都生まれ。工房木夢主宰。林二郎氏に師事。須田賢司氏の仕事を一年間手伝う。現在は河口湖畔の工房で禅姿勢を椅子の上で実現するためのカスタムチェアー製作とチェアーフィッテイング理論を提唱。

トークイベント「木考会とは何か?」

木考会の中心メンバーを3〜4グループに分け、ディスカッションを行います。でく工房で行われていた初期の木考会の活動、モノ・モノで開催されていた中期の木考会の活動、また女性からみた木考会の様子など、多角的な視点で木考会をふり返ります。

日時:6月25日(日) 14:00~16:00
場所:モノ・モノ
参加費無料、下記フォームより要予約

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本イベントは終了しました。